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真珠ができるまで

  • 執筆者の写真: official Daisy
    official Daisy
  • 2023年11月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:2023年12月6日


英虞湾に沈む夕日に反射する真珠養殖の筏

三重県志摩市にある英虞湾は、真珠養殖発祥の地です。

真珠王「御木本幸吉氏」が世界初の真珠養殖に成功したのは130年も前です。


その後、養殖技術が発展していき、戦後に一般に事業化されていきました。


英虞湾の夕日を撮影した写真ですが、湾内に浮かぶ筏は、主に真珠養殖に使われるアコヤ貝を吊るすためのもので、英虞湾の各所に見られます。


真珠ができるまではおよそ3年ほどかかります。


母貝を育てる2年間

昭和の初め頃までは、海女さんが海に潜って真珠真珠用の天然母貝を採っていましたが、現在は人工採苗した稚貝を仕入れ育てていきます。


1mmの稚貝から真珠の核を入れるまでおよそ2年アコヤ貝を育てます。

アコヤ貝は海水温度が10℃を下回ると死んでしまうため、温かい海に移動させたり、貝に牡蠣やフジツボが付着しないように掃除を繰り返し育てていきます。


およそ2年間、成長した母貝は「抑制(卵止め)」と「卵抜き」の仕立てを行い、5月頃からの真珠の核入れに備えます。


高度な技術が必要な核入れ

3年目の春以降、真珠の核入れを行います。

二枚貝であるアコヤ貝の生殖巣に核と外套膜の小片(ピース)を入れ真珠袋を形成させます。


外套膜は軟体動物の筋肉のようなもので、貝殻を形成する石灰質を分泌します。この外套膜が真珠核に膜を形成していくことで、真珠の層を生み出していきます。


この核入れした真珠核の位置が美しい真珠を作るためには重要であり、とても高度な技術が必要な作業になります。


核入れ後の母貝の体力を回復するために一定期間養生をし、その後7ヶ月〜1年半ほど沖合の筏で母貝を吊るし真珠ができるまで管理していきます。



冬の浜揚げ、選別へ

一部の母貝を剥いて真珠の出来具合(光沢、色、巻き)を確認し、時期を見て浜揚げを行います。


母貝の貝柱を切り、貝殻を開き真珠を取り出します。


養殖期間中、約半数が死んでしまいます。

残りの半数が浜揚げされ真珠の出来具合で選別されますが、良質の真珠はその半数ほどと言われています。


真珠養殖が確立されて約70年ですが、良質な真珠はなかなか生まれてこないんです。



真珠ができるまで、綺麗な海を守るのも重要

母貝が元気よく育つためには、環境も大切です。

英虞湾が真珠養殖に適しているのも、海水温やプランクトンが豊富な海域だからです。


しかし、湾内は海流による海水の入れ替えが少ないため、赤潮や大地の環境の影響を受けやすく、良質な真珠にも影響を与えます。


私たちひとりひとりが自然と共存し、伝統と新しい技術を融合させる常若の精神が必要なのだと感じます。


地元では食用する貝柱

貝柱は食用するのですが、アコヤ貝の貝柱はホタテのように円柱ではなく、勾玉のような形をしていています。


真珠養殖が行われている地域しか食すことがないため、ほとんど流通しない珍味です。


伊勢志摩の居酒屋さんでは、冬の珍味として用意していることもあるので、観光で立ち寄った際には是非食してみてください。

天ぷら、酢味噌和え、バター炒め、鍋などがメニューとして多いと思います。

(私たちが小さい頃は、冬の家の冷凍庫には必ず入っていたアコヤ貝の貝柱。チャーハンの具にしたり、弁当に入っていたり、干物にした貝柱をストーブの上で焼いたりと当たり前にしていた当時が懐かしく思います)

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